からたちサロン17
「今、凛と輝く女性たち」対談余話
染色作家 鳥羽美花
◇坂井茂樹(17期)

鰹、工中金経済研究所長

元「商工ジャーナル」
発行・編集人
坂井茂樹さん(17期、前二水高校同窓会関東支部長)は「商工ジャーナル」誌の連載「今を語る」の主インタビューアーをされたことがある。本シリーズとして対談した凛と輝く女性たちの印象やとっておきの話を寄稿いただいています。今回は染色作家の鳥羽美花さん。ベトナムの原風景とした圧倒されるような染色絵画の数々、作品の生地は白峰の白山袖とか・・・
(サロンマスター 高田敬輔)


薬師寺にて
  「染で紡ぐ悠久の都・・・奈良・ハノイ『鳥羽美花展』」が、奈良遷都1300年およびハノイ建都1000年を記念して、2010年10月5日から11月10日まで奈良の薬師寺において、引続き12月6日から25日までベトナム、ハノイ文廟およびベトナム国立美術館で開催された。
 奈良薬師寺では国宝・東院堂に「祈りの朝 三笠山より」が、また聚寶館に「凛 西ノ京」といった1300年の歴史を今日さらに未来へと結ぶわが国の風景が、さらに大講堂にベトナムの原風景が「かげろう」「雨上がり」と題して展示され数十万人の方々が5メートル×2.5メートルという大作に見入ったのである。
薬師寺に行幸された天皇・皇后両陛下もこの作品をご覧になられた。またハノイでは、薬師寺とならぶ世界遺産の「文廟」に「凛 西ノ京」と「ダナンからの出発」が展示され、その模様がベトナムの最大の英字紙"Vietnam News"新年号で特集記事として大きく取上げられた。

◆ベトナムを熱く語る
 鳥羽さんとの対談のきっかけは名古屋の経済界の方から日本独自の伝統的な技法による「型染」でベトナムの原風景を残そうと単身ベトナムに渡りベトナム国家から「文化功労賞」を授与された「美しい女流作家」がおられるとの紹介を得たことに始まる。早速、銀座のあるフランス料理店でお会いし、凛と輝く眼で熱く語る鳥羽さんに我が意を得、直ちにインタビューを申し込む。
 丁度個展が開かれていた名古屋の古川美術館の為三郎記念館展示室へ足を運び、作品を鑑賞しながらのインタビューとなった。
 インタビューでは京都芸大大学院在学中に日展初入選し、大学院卒業後も日展出品を続けながら従来からのやり方にあき足らず「自分で自分が変わりたい」と模索中に、タイ・チェンマイで出会った一人旅の老人から世界を回っていて一番心に残ったところがベトナムだと聞き、米国が和平条約を締結する1年前の1994年に単身ベトナムに渡り、以来、この国のエネルギーと昔日本にもあった原風景に魅せられたと語られた。
 「中国の植民地時代、フランス統治時代、ベトナム戦争など長いスパンの時間が一つになっていて、その凝縮がとても綺麗」と現地の人々の目線に立って作品作りに専念。2005年には名刺一枚で交渉し、ベトナム世界遺産のフエ王宮太和殿での個展開催は関係者に驚きの声を上げさせた。
 「危ない、危ないと言いますか、二つ道がある。どちらかを選択しなければいけないときに、やったことのないこと、ちょっと自分が難しいかなと思ったところに挑戦すると、うまくいきました。一歩引くと、絶対駄目でした」と眼を輝かせて語る鳥羽さん。
 東洋独特の思想が大きい、形のないところ、余白部分を小刀で彫り先に空間を形成していき、残ったところが図柄となるという欧米諸国では考えられない技法を用いた型染絵画の大作に圧倒された私は、翌年の夏、東京コンファレンスセンター・品川の第30回経営者夏季セミナーにスズキ自動車の鈴木修社長とともに鳥羽さんを講師としてお願いした。約300名のほとんどの参加者も初めて見ると思われる型染絵画を会場に展示したのである。
 今回の奈良遷都1300年、ハノイ建都1000年記念式典に日越の世界遺産で同時に個展開催をやってのける底知れぬエネルギーはまさに「今、凛と輝く女性」そのものと敬服するばかりである。
 
◆今秋は白峰にて個展
 特筆すべきは、鳥羽さんの作品の生地は白峰村の「白山紬」を使っているということである。色々探し回り自分の表現したいものと、型染ののり際が非常に綺麗に見えるのが白山紬で15年前に漸くそれにたどり着いたといわれる。 これも奇しき縁である。鳥羽さんは、昨年の夏、現在2軒しか残っていない白山紬の白峰村の織物工場を見学に訪れるとともに加賀友禅作家の毎田健治氏(二水高校12期卒・平成22年8月5日発行「からたち」第16号掲載)の工房をも訪ね毎田作品に感嘆し直ちに特注、今回の式典には加賀友禅の着物を召して臨んだのである。
 今年の秋には白峰村で鳥羽さんの個展を是非にとの要望が持ち上がっている。「歴史の中に永遠の未来がある」鳥羽さんの言葉には含蓄がある。




写真は商工ジャーナル(2007年7月号)に掲載された「今を語る ベトナムの原風景 文化の懸け橋をつくる」記事と鳥羽美花さんプロフィール、下は作品「ダナンからの出発」と鳥羽さん(為三郎記念館にて)    (提供;商工ジャーナル)







写真は商工ジャーナル(2007年7月号)に掲載された「今を語る ベトナムの原風景 文化の懸け橋をつくる」記事と鳥羽美花さんプロフィール、下は作品「ダナンからの出発」と鳥羽さん(為三郎記念館にて)    (提供;商工ジャーナル)
 鳥羽美花オフィシャルサイト http://toba-mika.net/topics.html

毎田健治氏作・加賀友禅の着物姿の鳥羽美花さんと坂井さん
:昨年10月16日日越文化交流フォーラム(薬師寺慈恩殿)のレセプション会場で
◇坂井茂樹プロフィール
 鳴和中学―二水高校(17期)−金沢大学法文学部卒、昭和44年商工中金入庫。商工中金理事。(株)日本商工経済研究所代表取締役社長等歴任。現在(株)商工中金経済研究所取締役所長。石川県中小企業団体中央会特認講師、金沢大学客員教授、金沢大学イノベーション創成センター研究員等、昨年金沢に居を移す。
 専門分野「中小企業金融実務論」 鰹、工中金経済研究所時代、中小企業実務総合雑誌の月刊誌「商工ジャーナル」の発行・編集人としてわが国の著名経営者が語る「私の経営学」、芸術家との対談小冊子「今、凛と輝く女性たち」など経営者向けに多くの実務書の刊行を行うなか、全国の中小企業経営者の勉強会に講師として招聘され、企業経営に感性の豊かさの必要性を語り続けている。


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