からたちサロン05
雑学を求めて・・・雑学考
◇得猪外明(7期)
( とくい そとあき )
神田雑学大学理事
 得猪外明さんには1昨年の支部総会で「日本語の不思議・・・オノマトペの世界」という講演をいただきました。
 二水化学部育ちの研究心と、鉄鋼メーカー時代に世界各国を巡った経験から、神田雑学大学で講演会を主宰するほか、同人誌「生活をつづる」にエッセイ、金沢の「北國文華」には小説を書かれる文筆家でもあります。
雑学博士の得猪さんには「雑学を学する」才能が備わっているようで、トレビアなお話が楽しみです。
(紹介者;サロンマスター高田敬輔)


 雑学とは学問だろうか。
 雑学を構成する知識は、全体としてひとつの学問を構成しない。つまり、雑学という学問は存在しないらしい。
 ここ十年ほど、神田雑学大学で古今東西のにわとりの鳴き声を研究している。
 感心してくれる人もいるが「それがどうしたの?」といわれると返答に窮する。
 「こけこっ考」という論文を提出したら雑学博士というたいそうな学位記を頂いてしまった。

 たかがコケコッコー、されどコケコッコーである。長年やっているうちに「こけこっ考」が意外な展開をみせた。
 NHK-BSの「Cool Japan・・・外国人の目線で日本文化の魅力を発掘する」という番組を企画していたプロデューサーの目にとまったのである。

 六人もの撮影スタッフを従えて、我が家にやってきたのはアンドリアナさんというマケドニアの女性だった。

 不覚にも、いまマケドニアという国が存在することもマケドニア語という言語があることも知らなかった。
 話は当然マケドニアのにわとりは何と鳴くかということから始まった。
 彼女にいわせるとそれはククリクー(kuーkuーriーku)だというが、それは私のコレクションにあるヘブライ語の鳴き声と同じであった。
 マケドニアは古代にアレキサンダー大王を輩出した名門で、昔はギリシヤ人が多く住んでいたが、のちにスラブ人が侵入して優勢となった。言語はスラブ系とブルガリア語をもとにしているという。
 ヘブライ語はアフロアジア語族のセム派に分類される言語で、古代にパレスチナに住んでいたヘブライ人(ユダヤ人)が母語としていたもので、いまはイスラエルに引き継がれている。
 バルカン半島にヘブライ語が残っていることは意外だった。もともとこの辺は多くの民族が侵攻したり退却したりして文化も言語も複雑なものになってしまった。にわとりも、なんと鳴いていいものか戸惑ったに違いない。
 これに比べて海に囲まれて陸の国境がない日本は、なんと恵まれていることか。私が知る限り、にわとりがコケコツコーと鳴く国は日本を除いて世界に存在しない。
 番組ではインド人、ロシア人、メキシコ人、フランス人、中国人、オーストラリア人がスタジオに集まって、それぞれのコケコッコーを披露しコケコッコロジー(kokekokkorogy)として英語版の衛星放送として世界に紹介された。

◇得猪外明(とくいそとあき)プロフィール
 1937年金沢生、二水高校―金沢大学経済学部―JFEスチール梶i旧日本鋼管)出身
 NPO法人神田雑学大学 理事
 コケコッコーから擬音語・擬態語の世界にはまり、さらに日本語はどうしてできたか、日本人は何処から来たか、なぜ人間だけが話すことが出来るのかなど雑学に終わりはなさそうです。
神田雑学大学は毎週金曜日開校していますので、遠慮なくご来校ください。 神田雑学大学; http://www.kanda-zatsugaku.com/


著書 「へんな言葉の通になる」祥伝社新書 2007

小説 「見性庵聞き語り」北國文華 35号 2008春
    「報国石川号」  北國文華 36号 2008夏
     「田端金沢村」  北國文華 38号 2009冬



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