◇得猪外明(7期)
 オノマトペの研究でも有名な神田雑学大学の得猪外明博士(7期)に久々にご登場戴きました。
「美しき川流れたり・・」・のとおり犀川、浅野川を遊び場とした二水生も多く、外からは羨ましく思われる。
 最近は佃煮のごりは知るものの、あの茶目っ気な顔を知る人も少なくなった。浅野川のごり屋も廃業したという。
  ごりのうん蓄を拝読しながら、金沢の「ごり文化」も永続することを期待したい。
(編集者;高田敬輔)
◇得猪外明(7期)
( とくい そとあき )
神田雑学大学理事

少年時代はよく犀川で遊んだ。縄張りは大橋の下から鉄橋あたりであった。
 転校生で言葉もよく通ぜず一人で遊ぶのが気楽だった。 最初に熱中したのが石の下にいるごりをヤスで突くことだった。手に三十センチほどのガラス箱で川の底を覗き、大きめな石をそっとどかすとごりが鎮座している。電光石火の早や技でヤスで突くのである。

 毎日勉強そこのけで川に入っていたのでごりに詳しくなった。川底に生息する淡水魚で、ハゼ類に典型的な大きな頭部、飛びだした目、大きな口などが特徴である。
 犀川のごりにもたくさんある。から揚げ、てり焼、城味噌仕立ての鮴汁など高級料亭で珍重されているようだが、それほどうまいというものでない。
 第一本物のごりが少なくなった。
 今,幻の高級魚となったカジカゴリを採る人もいなくなった。これを採るには深さ15ンチ程の清流れの底を鍬で均して石の大きさも5~10センチにととのえ、上流に向かって幅2メートル、奥行き2メートルほどの石の防波堤を作って 先に直径1メートルほどの竹ざる(どじょうすくいに使う)をセットする。
 準備ができたらゴリが遡上するように一時間ほど待つ。そこで雪掻きの時に使う板で 一気に上流に石ごと押し込むのである。これをごり押しという。ごりをつかまえようとすると、スッと行っては止まり、行っては止まる。 鮴という漢字も、ごり押しという表現もごりをよく観察した結果である。カジカゴリは頭がおおきく角ばった姿で、主に上流に住んでいる。

 わたしたちがよく採ったのはザラッとして頭の丸いのが多い芋ごりと、すらりとしたアメ色で、顔淡、淡青の血管が見え、吻の少しとがったアネサンゴリだった。
 芋ごりに似ながら、もっと横幅もあり顔をおおきくズングリ大柄なものをぐずといって簡単に捕まえられた。
 ぐずという表現もよく出来ている。
 ほかにキンチャクゴリというのは淡褐色、河北潟で採り平桶に入れて入れたのを頭に乗せて女が売りに来たのが、この種類で、金沢名物ごりの佃煮の原料である。
 ごりは地方によって呼び方も料理のしかたもいろいろある。数年前四国の四万十川河口の料理屋で食べたごり丼というのは500円と値段も安くお勧めである。

gori01 スッピンのごり
      (「金沢おいしい店ドットコム」より)
 ◎ごりに関するWeb情報
   ◆Wikipedia:ごり
   ◆金沢おいしい店ドットコム
    ◆ごり屋(写真)

◇得猪外明(とくいそとあき)プロフィール
1937年金沢生、二水高校―金沢大学経済学部―JFEスチール㈱(旧日本鋼管)出身
 NPO法人神田雑学大学 理事
 コケコッコーから擬音語・擬態語の世界にはまり、さらに日本語はどうしてできたか、日本人は何処から来たか、なぜ人間だけが話すことが出来るのかなど雑学に終わりはなさそうです。
神田雑学大学は毎週金曜日開校していますので、遠慮なくご来校ください。
著書: 「へんな言葉の通になる」祥伝社新書 2007
小説 「見性庵聞き語り」  北國文華 35号 2008春
    「報国石川号」    北國文華 36号 2008夏
     「田端金沢村」    北國文華 38号 2009冬
    「反魂丹役所薩摩組」 北國文華 45号 2010秋
    「塩硝街道」     北國文華 49号 2011秋
神田雑学大学HP
http://www.kanda-zatsugaku.com/

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